関門プロデュース研究隊 隊長 富田です!
お盆にようやく「宮本武蔵聖地巡礼の旅」のツアー篇までリリースできて、これでようやく一区切り〜と思いましたが、どんどん行きます。休む間もなく【関門時間旅行Deeper!!】のシーズン2へと入ります。

今度のテーマは「平家物語」と、関門にたくさんある「神宿る舞台」をめぐる旅

はい。今度のメインな研究対象は「平家物語」です。
「宮本武蔵に続いて、また歴史もの〜?」とおっしゃることなかれ、武蔵とはまったく違うコンセプトなのです。

まず、主なターゲットは女性です。(もちろん、武蔵女子の方もいらっしゃいますけど…)
中でも、歌舞伎やお能、浄瑠璃などの舞い系や、落語、講談、浪曲などの語り物など「舞台好きな方」をメインターゲットに考えます

そういう舞台芸能と関門って何か関係あるの? と思われるかもしれません。いえいえ大アリです!
そのキーは何と言っても「平家物語」。なんと、歌舞伎も能も、落語も講談も浪曲も、日本のあらゆる芸能にネタを提供している究極の元ネタストーリーこそ、この「平家物語」なんです。

人形浄瑠璃

今回取材した筑前琵琶の高木青鳳さんによれば、以前会った浄瑠璃の演者の人がこんなことを言ってたそうです。

「我々(日本の芸能の人)は源氏と平家に感謝しなきゃいけない。あの人たちが戦わなかったら我々はやるものがないんだから・・・」

 

いやぁ・・・確かに、そうかもしれませんね〜。そして、ご存知の通りそのクライマックスは「壇ノ浦」、つまり関門海峡なのです。

平家物語は日本の芸能の原点

『職人尽歌合(七十一番職人歌合)』東京国立博物館蔵

「平家物語」って名前、源氏と平家という対抗軸から、あまりよく考えないと「源氏物語」の延長みたいなイメージがしますよね(え?全然しない!?そういう芸能通・文学通な方はスルーしてください)。

いうまでもなく「源氏物語」の源氏は光源氏という人の名前ですから、源平合戦とは何も関係なし。そして「源氏物語」は宮中で大流行した恋愛物語であったわけで、文字が読めない人にはまったく広まらなかった平安時代の宮廷文学でした。

一方で、「平家物語」は、琵琶法師による弾き語りが基本です。流行した時代は鎌倉時代〜室町にかけて。盲目の法師が琵琶の激しい演奏とともに語る、儚く、美しく、時には恐ろしく、しかし続きが気になって仕方ないという「ワクワク物語」が、字が読めない一般庶民に爆発的に広がった日本初の大ヒットエンターテインメントだったわけです。

それとは別に、日本には元々神さまとのコミュニケーションとして舞ったり踊ったりという文化がありました。神楽や田楽踊りなどですね。ちなみに「舞う」と「踊る」はかなり意味が違うそうですが、その話はまたいつか。

とにかく、この「舞い」や「踊り」に「平家物語」という鎮魂のストーリーがマッシュアップされて、室町時代に大発展するのが「能楽」なんですって。そして、歌舞伎や浄瑠璃にも平家物語ゆかりの話がたくさん引き継がれていきます。

一方で、「語り芸」の原点はもちろん「琵琶法師の語る平家物語」ですから、講談・浪曲・落語だって平家物語ゆかりのお話しはあるんですね〜。

いやぁそう考えるとまさに、平家物語は日本の芸能の原点といっていいかもしれません。

関門には「神宿る舞台」といいたくなる神事もたくさんある

2017年10月の関門時間旅行では、神社好きイラストレーター上大岡トメさんをお迎えして、関門の神社を研究してみました。詳しくはこちら

和布刈(めかり)神社のように、伝西暦200年創建・・・なんていう桁外れに古い神社もあったり、下関・門司それぞれの氏神様である亀山八幡宮や甲宗(こうそう)八幡神社が、今や全国でもっとも多い「八幡宮」を最初に広めていく行教(ぎょうきょう)さんの西暦860年ごろの旅でできた神社であるなど、源平合戦のときにはもう既に関門の主だった神社はあったわけです。たぶん彼らも神だのみで祈ったことでしょう。

当時と変わらぬ潮流を見せてくれる関門海峡と相まって、海峡沿いの神社めぐりは最も簡単に想像力のタイムマシーンに乗ることができる旅・・・というのが、2017年の関門時間旅行でも話題になった「関門の楽しみ方」でした。

そんな関門の古き良き神社には、「芸能」として捉えたくなるワクワク系の「神事」が実はたくさんあります

数方庭祭(楽しもshimonoseki.traveより)

例えば、関門最古級の下関・長府の忌宮(いみのみや)神社では、毎年夏に天下の奇祭とよばれる「数方庭祭(すほうていまつり)」というお祭りがあります。映像を見るとめちゃくちゃ面白そうですが、少なくとも富田はまったく知りませんでした。

また対岸・門司港の和布刈神社では、毎年立春を迎える深夜に「和布刈神事(めかりしんじ)」が行われます。

ニュースではここしか見ないおなじみの和布刈神事の場面

そっちは一応知ってはいましたが、<神官が海に入ってわかめを刈る>という北九州ローカルのニュースや新聞記事でいつもそこだけしか見かけない“おなじみの場面”の前に、なんと!境内で恐るべきアクロバティックな神楽が舞われていることをごく最近知りました・・・。

ということで、「数方庭祭(すほうていまつり)」も「和布刈神事(めかりしんじ)」も、私は実際に見たことはありません。何しろ1年に1回しかチャンスはないので。観たい!ぜひ観たいですね〜。
でもこれ私だけではないでしょう、こんな凄い神事があることを知れば観たい!と思う人って。しかも、源平合戦最後の戦い、あの「壇ノ浦の戦い」があった関門海峡沿いの神社の神事とくれば、もちろんそれは「舞台芸能」ではないことは百も承知の上で、しかし芸能好きにはたまらない「神宿る舞台」といってもいいプレミアムな公演です。

甲宗八幡神社にある、伝平知盛墓

安德帝をお祀りする赤間神宮では「奉納の舞い」を実は毎朝舞うといいますし、亀山八幡宮では安土桃山時代にまでその縁を遡る「亀山能」があり、門司港の甲宗八幡神社でも、あの事実上の平家総大将 平知盛のお墓のすぐ横にある能舞台で、まさにその知盛の話の能が舞われていたりします。ね!舞台好きのあなた、知れば行きたくなったでしょう?

とにかく、年がら年中、何かしら観たら面白そうな「神事」があって、それが観光のためにではなく、神に捧げることをメインに真剣に続けられているところが非常に貴重ですよね〜。

そして今、そんな「本物」こそ、日本中・世界中の好事家が、はるばる旅してでも観たいと求めているものなのではないでしょうか。

関門の「神宿る舞台」的な神事については、詳しくはいま中野隊員を中心にリサーチ中なので、また別途ご報告します。お読みの皆さまの情報もぜひお寄せいただけたら嬉しいです。


というわけで、関門時間旅行Deeper!! シーズン2は、「平家物語」と関門の神宿る舞台を深掘りしていくことにしました。舞台好き、日本の芸能好きなあなたには、目からウロコがボロボロ落ちる忘れ得ぬ旅になることでしょう。

ただいま鋭意調査研究中。近日、「プランニング篇」の番組公開スタートです。
どうぞお楽しみに!

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