関門時間旅行主宰、トミタプロデュースの富田剛史です。今回は龍の話を書きましょう。

関門海峡には大きな龍が潜んでいます。
あなたも、関門時間旅行ガイド03「竜神と宇宙をめぐる旅」を片手に、関門の旅はいかがでしょうか?

関門時間旅行ガイド 竜神と宇宙をめぐる旅

古来、日本では激しい水の流れを「龍」と呼んだ

龍は「水を司る神」とされています。天地(あめつち)を自由に動き回る龍は、台風や嵐、大雨の水が、激しい川の流れとなる姿が、雷鳴とともに光る雲の影のイメージも伴ってできたものでしょう。

昔は大きな川は頻繁に氾濫して、のたうつ大蛇のように流れを変えて動き回りました。そういう場所には治水の祈りを込めて「龍神社」「水神社」がよくあります。大河は龍だったのですね。

激しい水の流れといえば、川ばかりではありません。日本三大急潮流のひとつ関門海峡では、大潮の日にはまるで氾濫した大河のように海が激流になります。日本最大の龍は関門海峡かもしれないと思い、コロナ禍前の2019年には「激流海峡観察ツアー」を企画しました。

そして、何度も関門海峡の地図を眺めていた僕は、あるとき気づいたのです。横たわる龍の姿に。

関門海峡の地図に浮かび上がった龍の姿

しかも龍の目は「巌流島」だなんて、出来過ぎ‼

Google Mapで関門海峡を画面左に少し東の海までを入れてみると、見事な龍が見えてきませんか?

関門海峡が龍の首、そして瀬戸内海を行き来する船の航路が龍の胴体です。新門司港に向けて、三本の爪を伸ばす龍の手もありますよね。龍の頭から玄界灘に抜けていく航路は、龍のひげにも見えます。

え?見えませんか?

では、ホントはGoogle Mapをこんなふうにキャプチャして埋めてはいけないんですが、問題部分をキャプチャして、さらに分かりやすいように色調整をしてみました。

いかがでしょうか? 見えますよね。龍神の姿が。

え?見えない??

それでは、致し方ないのでこちらをご覧ください。

どうです?

お誂え向きに「眼」まであります。あれはなにか?「巌流島」なんです。
古文書の地図には「眼竜嶋」と書いてあるものもあって、そこまで来ると昔の人も分かっていたのか⁉とちょっと偶然にしては出来すぎです。

とはいえ、それほどオカルトチックな話ではありません。龍の頭のようになっている下関港は、明治以降の築港で埋め立てられてあの形になっているのですし、船の航路だって現代のものですから。

ただ、偶然の産物にしても、関門海峡に見事な龍が潜んでいるのは事実でしょ? 面白いと思いませんか。

壇ノ浦の波の下の「竜宮城」と神功皇后のドラゴンボール

さて、話は変わりますが、赤間神宮・龍宮殿で上演した関門時間旅行の琵琶朗読劇「波の下の都」は、平家物語の最終巻「灌頂巻(かんじょうのまき)」を原作に作ったお話です。

そのクライマックスで、平徳子が京に戻される途中で夢を見るシーンがあります。壇ノ浦の海に沈んだ平家の公達、そして愛しい我が子・安徳天皇と、徳子の母・二位の尼も、すばらしい都に居て楽しそうに遊んでいます。徳子が二位の尼に「そこはどこですか?」と聴くと、「竜宮城と申すところです」とお答えになるんですね。

二位の尼の辞世の句と言われている「今ぞ知る、みもすそ川の御流れ、波の下にも都ありとは」の波の下の都とは竜宮城のことだったのでしょうか。

そんなエピソードを元に、赤間神宮の水天門が作られ、龍宮殿という会館があるわけです。

もうひとつ、西暦200年頃の伝説の女帝・神功皇后(じんぐうこうごう)の伝説も、関門に伝わるお話の一つです。

神功皇后は、夫の仲哀天皇と都から九州の「熊襲(くまそ)」を制圧するために関門の地にやってきます。戦の途中で仲哀天皇は戦死してしまいますが、ひるがぬ皇后が軍を率いて熊襲はおろか、朝鮮半島にも出兵して三韓併合して帰ってくるという勇ましい伝説です(あくまでお話です)。

そんな神功皇后が、関門海峡の最も狭いところにある大きな岩に月の神様をお祀りした…というのが、今も関門橋の下にある和布刈(めかり)神社の創建。

そして、三韓出兵の際に海の神に2つの珠を授かります。一つは海へと投げれば潮満ちる珠、もう一つは潮干す珠で、潮の満干を自在に操るまさに「月の化身」のような珠です。まさにドラゴンボールですよね~。

結局使わずに帰ってきて、神功皇后が龍神に返すために関門海峡に投げ入れると、2つの島になった・・・というのが、満珠干珠伝説です。

門司港 和布刈(めかり)神社から望む関門海峡に浮かぶ、満珠島・干珠島

龍を操るのは星。月と地球と太陽が惹きつけ合って龍が動き回る

ということで、関門の潮の「龍」を激流として動かしているのは、主に月と地球の引力です。そして遠いけど太陽も一役買っています。

また、地球のお天気には、もちろん太陽が大きな力を発揮します。雲を育て、雨を降らせ、風が吹き嵐が来るのは、地球という水の惑星を太陽が温めたり冷やしたりするからです。

つまり、龍を操るのは遠い星たちの力なんですね。だから、龍神は天と地を自在に行き来します。

龍神は激しく恐ろしい存在です。大雨、稲妻、大洪水・・・荒れ狂う龍神には人はかないません。しかし、その後には必ず豊かな恵みをもたらしてくれます。

「稲妻」とは稲の実りに欠かせぬベターハーフであり、神社のしめ縄は「雲」、ギザギザの紙垂は「稲妻」、藁の垂れは「雨」を表しているそうで、天皇以下あらゆる神職は、基本的に五穀豊穣を祈っているんですね。

和布刈神社の本殿、しめ縄の上には龍の彫り物がありました。

和布刈神社のしめ縄。雲を表すしめ縄の上には龍の姿が。

「虹」という字が虫偏なのは、昆虫じゃなくて蛇、つまりは「龍」でもあります。激しい雨が上がり日が照れば、美しい虹が出ます。

ということで、年初から波乱の幕開けの2024年の辰年、日本各地で大変苦しい想いをしている方がたくさんいらっしゃるお正月ですが、きっと豊かな恵みの未来への前兆と思い、一年前向きに過ごしていきたいと思います。

関門海峡、和布刈神社、赤間神宮の龍神詣りなど、いかがでしょうか。
もちろん、関門時間旅行ガイド03「竜神と宇宙をめぐる旅」を持って。

(文責:富田剛史)

関門海峡に潜む龍…関門海峡は竜神海峡だ” に対して2件のコメントがあります。

  1. 岡 正治 より:

    波の下の都の感動が思い起こされます。
    年が明けて辰年というのも何かの縁でしょうか。
    明日から四国一周の旅に出ますが、愛媛香川徳島と源平の名残を目にするかもしれません。また、鳴門の渦潮では龍を目にするかも笑。

    1. 富田 剛史 より:

      岡さん、ありがとうございます!今年もよろしくお願い申し上げます。
      明日からの旅、どうぞお気をつけて。

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